• 小野誠人

全国賃貸住宅新聞 「電子契約の社会実験10月開始」

賃貸仲介業者が、インターネット上で完結する時代が到来しようとしている。国土交通省は10月1日から賃貸借契約書と重要事項説明書を電子交付する社会実験を開始する。これまで書面交付が義務付けられていた書類をPDFなどで交付し、電子署名で契約が成立する仕組みに支障がないか検証するものだ。7月16日に社会実験の参加企業を募集開始し、すでに数社の登録を受付けている。募集は8月19日までだ。


参加企業の募集を受け付け


契約書等の電子交付が可能になることで、不動産会社と借主の間で書類をやりとりする際にかかるコストと時間が削減できるようになる。生命保険、旅行、クレジットカードの発行など、あらゆる商品やサービスがインターネット上で取引できる現代において、不動産業界はいまだ対面での取引が前提だ。ITの活用によって賃貸借契約の仕組みがシンプルかつ簡易的になり、手軽な住み替えにより市場拡大が期待できる。

今回の社歌実験で実施する契約書等の電子交付は当然、対面ではなくIT重説を行わなければいけない。電子交付は、電子メールにより送付する方法、サーバーやクラウドなどインターネット上からダウンロードする方法などを想定している。

手順としては、まず従来通り、郵送などで契約書等を交付する。重要事項説明書を電子交付し、ウェブ会議システムなどで説明を実施。消費者はスマートホンやタブレット、パソコンなどで電子書類を見ながら説明を聞く。説明中は録音、録画が必須だ。説明が終わったら電子交付した重説書と契約書に借り手から電子署名をもらう。書面にも署名、押印をもらい返送してもらう。電子交付をするのに家主の承諾などは必要ないが、宅建取引士と借主にはアンケートを行う。なお現行法に従い、社会実験中は電子交付、電子署名と並行

して従来通り書面での交付、署名も行う。

社会事件は宅建免許を持つ不動産会社であれば所在地や規模を問わず参加登録が可能だ。国交省は審査後、8月下旬に社会実験に参加する登録企業を決定する。9月上旬から中旬にかけて、登録企業向けに説明会を実施する。企業数に上限はないが、検討に十分な実施件数が必要だ。社会実験は3カ月を予定しており、年明けに検討会を実施し、本格運用するか判断する。


意欲的な不動産会社も


すでに入居申し込みや賃貸借契約を電子化する不動産会社が出てきている。現行の宅建業法では一部の賃貸借契約において、重説書や賃貸借契約書を書面で交付すれば、その他の契約行為自体は書面である必要はないためだ。不動産会社は業務効率の一環で電子契約を推進している。賃貸借契約以外の契約で、例えば更新契約や退去の手続き、駐車場の利用規約、リフォーム工事、従業員との雇用契約などだ。電子的な手続きを導入している不動産会社は増えている。

すでに社会実験に参加する意思を見せている不動産会社はある。サブリース会社として賃貸借契約の電子手続きを行っているアミックス(東京都中央区)だ。同社はSB C&S(旧ソフトバンクC&S)が提供する『IMAoS(イマオス)』を活用している。



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