• 小野誠人

第4話 電子契約の始め方

「必要最低限の準備で着手してみる」


 不動産賃貸契約の締結は登場人物が多く、かつ物件ごとに相手が異なる。また契約締結のパターンも複数ある。そのため、いきなりすべての取引を電子化することのハードルが高いので、取り組みやすい物件をまずは1件だけでも電子化することを推奨している。

 例えば、サブリースや貸主代理の物件で、40歳以下の方から入居申し込みがあった場合は、原則的に電子契約を案内すると決める。書面契約と電子契約でやりやすい方を実務者に選ばせるアプローチでは従来のやり方から変わらない。もし入居者にノーといわれたら従来通り書面で契約すればよいと伝え、現場のリーダーが強い決意で臨むことが肝要である。仲介担当者が「本物件は管理会社の指定で電子契約でのお手続きとなります」と入居者に伝えることは難しいことではない。


事前準備

 事前準備の流れは図表を参考にしていただきたい。紙面の関係で説明は割愛させていただくが、2点だけポイントだけお伝えしたい。1点目は、図表の③に記載した業務の可視化を必ず行うことである。これは業務の見直しに役立つだけでなく、社内説明でも大いに活用できる。一部の紙が残るから電子契約に取り組むのは時期尚早という意見はよく出るものだが、絵にしてみるとその見解が正しいか客観的に評価できる。私自身でさえ最初は電子化に不向きと錯覚に陥ったケースがあった。2点目は、システム改修は後回しにし、まずは必要最低限の準備で実際に運用することである。もしうまくできなかったら、書面契約の運用に戻せると思えば失敗をおそれずにトライできる。


利用者の反応

 入居者の反応はどうか?携帯電話ショップなどで電子ペンを用いてタブレットに電子署名を行うことが当たり前の現在、入居者から電子契約を拒否されたケースは聞こえてこない。

 オーナーはどうか。東急住宅リースではオーナーとの管理受託契約において電子契約を活用しているが、利用実績は毎月増加している。もちろん紙の運用も残っているが、まさに取り組めるところから活用している。電子契約を利用したオーナーは、賃貸契約や更新契約も電子化に応じるので、業務効率化の観点からは二度三度おいしい。管理会社のみなさまは、電子契約のファーストステップとして、既存顧客のオーナーへ「契約電子化の同意書」の署名依頼を行ってみてはどうか。


全国賃貸住宅新聞 2018年5月14日号(No.1318)

「来たれ!!電子契約元年」 開発責任者 小野誠人