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最終回 交付書面の電子化

最終更新: 2018年7月11日

法改正前でも可能な範囲で活用を


法改正が必要という誤解

業界内で電子契約という言葉が認知されるようになったが、交付書面の電子化が実現しないと効果がないと捉えている事業者はまだ多い。しかしこれまでお伝えしたように、現行法でも契約の電子化を進めることで、新規の賃貸契約における封筒での契約書類のやり取りを大幅に削減できるし、入居申し込みから賃貸契約締結までの期間短縮化は可能である。また、宅地建物取引業法が適用されない更新契約等では電子契約の活用が確実に増えている。もちろん、法改正が行われれば業務がシンプルになり、運用がスムーズになることも事実だ。


法改正にはサンプルが必要

 法改正は行われるのか。宅地建物取引業法で定める交付書面の電子化には少なくとも5年はかかるだろう。法改正には有識者による論点整理や法案作成、パブリックコメントの募集などが必要で、一般的に2~3年はかかる。その後、国会での審議を経て法律が施行されるまで、更に2~3年を要する。IT重説の社会実験で交付書面の電子化の話はあったが、まずは非対面で重要事項説明を行ってから検討という整理のため、議論はなされていない。IT重説や電子契約の実施件数が増え、事業者や消費者から要望が出ないことには始まらない。


規制のサンドボックスを活用

 ここで朗報がある。6月に生産性向上特別措置法が施行され、「規制のサンドボックス」制度で認定を受ければ、IT重説のような実証実験を企業単位で行えるようになった。これにより規制改革につながるサンプルの収集が可能。例えば、「交付書面を電子化するとトラブルが増えるか」という議論を実証結果に基づいて行える。画期的な制度であり、私も契約業務の電子化を推進する事業者と申請を進めている。その結果は本紙や講演、弊社の不動産賃貸業向け電子契約サービス「IMAoS(イマオス)」の公式サイト等でも逐一報告したい。繰り返しになるが、声をあげなければ法改正はない。逆に声が多くなれば議論が前倒しになることは、民泊等の事例を見てもあり得る。1社でも多くの企業が実証実験を行い、現場の声をあげていただけるよう私も微力ながら、貢献したい。まもなく「平成」から元号が変わるが、不動産業界に電子契約元年の足音が聞こえ始めている。(最終回)


プロジェクト型「規制のサンドボックス」

AI、IoT、ブロックチェーン等の革新的な技術やビジネスモデルの実用性の可能性を検証し、実証により得られたデータを用いて規制の見直しに繋げる制度


法改正を前提とせず、企業ごとに申請が可能


全国賃貸住宅新聞 2018年7月9日号(No.1326)

「来たれ!!電子契約元年」 開発責任者 小野誠人

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