• 小野誠人

住宅新報2018年7月17日号「申し込みから契約まで電子化」

最終更新: 2018年7月18日

ソフトバンクC&S 電子契約普及促進で


不動産賃貸専用の電子契約サービス『IMAoS』(イマオス)を提供するソフトバンク コマース&サービスはハプティックと提携し、賃貸仲介の入居の申し込みから契約までの一連の手続きを電子化するサービスを9月にもリリースする考えだ。電子化によってそれぞれの手続きをスムーズにつなげれば、電子契約サービスの普及が促進されると判断した。


イマオスは17年9月に提供を開始した。開発時に不動産会社の協力を得たことで、現状の賃貸仲介業務の流れを変えないように仕組みを考慮している。借主や貸主、不動産会社にとっての使いやすさを追求して、システム画面や各種の機能を不動産賃貸向けに構築しているのが特長だ。このサービスを導入すると、紙の書類や印鑑が不要となり、郵送の手間を省き、手続きを簡素化する。同社はヘルプデスクを置き、宅地建物取引士の有資格者が対応するフォロー体制も整えている。


他社サービスとの違いは多い。例えば、仮に入居希望者がメールアドレスを持っていなくても、電話番号で使えるSMS(ショートメールサービス)によって、契約書や同意書への電子署名の依頼を通知できる機能を実装している。また、印鑑タイプの印影、もしくは、手書き署名の設定ができる。更には、今後の法改正によって紙の書類を使わずに、すべての手続きで電子化が可能となった場合を見据え、システム機能の開発で準備をしているという。


入居申し込み段階から

電子契約サービスの活用シーンは、新規や更新の契約時、重要事項説明時のほか、現状回復時の内装工事業者との建設請負契約が想定される。特に、更新契約時は宅建業法外のために、比較的に電子化が進んでいるようだ。


ただ、現状の賃貸仲介の場面では、入居申し込みの受付手続きが紙ベースで進められている。同社ではこれが、賃貸仲介の現場で電子契約サービスの普及が進まない理由の一つにあると見ている(図1の点線の矢印)


電子契約との親和性

そこで今回、ハプティックが開発する入居申し込み手続きを電子化するシステムと連動すれば、データ内容の総合性から親和性がある電子契約サービスの普及を後押しすると考えた(図1の実線の矢印)。家賃債務保証会社への保証審査の依頼や賃貸管理システムもこれと一緒に連携すると、一連の流れの全体が電子化されるために、賃貸仲介の手続きをよりスムーズにさせる(図2)。


入居申し込みと賃貸契約の連携

同社では、次の段階も考えている。従来の手作業から解放される業務の電子化は、仕事の効率化による働き方改革や、コストを削減するとして注目度が高まっているが、これらに加えて、業務のスピードアップ化が企業の競争力を強めるという観点だ。


スピード化で競争力を

ネット通販では即日に荷物が届く時代。賃貸入居でもこれが可能になると同社では確信している。現状では、入居申し込みから鍵の受け渡しまで2週間程度は掛かっている。その際、当日の鍵渡しを可能にすれば、借主の利便性が高まり、他社との差別化となることで不動産会社や貸主の収益性を高める仕組みだ。


入居審査をいかに短縮できるか、保険関係などの書類の郵送などといった一部で課題が残るが、大半の手続きは既に電子化に対応可能だ。契約金の入金についても、全銀システムの稼働時間拡大に伴い、10月から各銀行が他行宛てでも24時間即時振込を開始するため、ハードルが下がる。


こうした背景を追い風として、賃貸入居の手続き全体のスピード化を図れるとみて、今後同社では、賛同する不動産会社を募り、試行事例積み上げていくという。


社会実験に着手へ

同社では更に、6月の生産性向上特別措置法の施行で規制の「サンドボックス」制度が創設されたことで、すべての交付書面の電子化でトラブルなくスムーズな取引が可能かをプライベートな社会実験で実証したいとも考えている。賃貸仲介の一連の手続きが全て電子化されれば、不動産業務の進め方自体が変化しそうだ。


住宅新報 2018年7月17日号

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